社債、株式等の振替に関する法律とは?証券の電子化と信頼を支える仕組み

公開日:2022年10月21日
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社債、株式等の振替に関する法律とは

「社債、株式等の振替に関する法律」とは、「証券保管振替制度」についてを規定している法律です。証券保管振替制度は一般に耳慣れない用語ですが、身近な例でいえば株券の電子化(株式のペーパーレス化)を実現している仕組みのことです。

2002年に社債、株式等の振替に関する法律が施行、その後2009年1月5日に株式等振替制度が開始され、紙に印刷されたそれまでの券面は廃止となりました。物理的な券面がなくとも、株式を保有していることは電子的に証明できるものとされ、権利は「証券保管振替機構(通称ほふり)」と証券会社などの金融機関の口座において管理される形となっています。

本記事ではまず上場株式の売買で一般的に活用されている「株式等振替制度」について、続いて社債などに適用される「一般債振替制度」を解説します。最後に、制度を支えるインフラである「証券保管振替機構」に関して紹介します。

株式等振替制度とは

株式等振替制度とは、前述のほふりと金融機関が作成する振替口座簿の電子的記録によって、株主等の権利の帰属を把握する制度を指します。株式の場合なら、株主の権利である株主総会での議決権行使、配当金の受取りなどの発生、消滅、移転といったことが管理されています。

例えば権利確定日における株主一覧を発行企業に通知するのはほふりです。また、個人投資家がある証券会社に預けている上場株式を他の証券会社の口座に移管しようとする場合なら、当然券面の移動は発生せず、証券会社とほふりが記録を書き換えることで手続きされます。

制度の対象となっている金融商品は、​​金融商品取引所に上場されている株式、新株予約権、新株予約権付社債、投資口、優先出資、投資信託受益権(ETF)及びそれらに準ずるものであって、発行者の同意を得たものとされており、2022年9月時点での取扱い銘柄数は4,000弱となっています。

株式等振替制度のメリット

株式等振替制度が導入されたことで、管理面、取引面、手続き面の3つのメリットを享受できるようになりました。

まず、管理面について、株券を手元で保管する場合の盗難・紛失のリスクを懸念する必要がなくなりました。次に取引面では、権利の取得も電子的に管理されているため、偽装株券を取得しトラブルになることがなくなりました。最後に、手続き面でも、売買に伴う株券の受渡しや、取得のたびの名義書換えが不要となりました。

投資家はもちろんのこと、発行会社や金融機関の負担や作業コストが削減され、証券市場の透明性、信頼性や効率性向上につながっています

一般債振替制度とは

上場株式などについては株式等振替制度が活用されていますが、社債、地方債などについては「一般債振替制度」という制度が存在しています。
一般債振替制度は、一般債(国債以外の債券の総称)に関する投資家の権利を、ほふりと金融機関(正確には、本制度における「口座管理機関」)の振替口座簿の電子的記録によって管理する制度です。2006年に開始され、上場株式より一足先に券面発行のない完全なペーパーレスを実現しました。

制度内に決済フローも取込んでおり、新規発行から流通、償還に至るまでのすべてが管理の対象です。更には社債権者集会の開催通知や、社債デフォルト案件に関する社債権者への情報提供を行う場合も、本制度を活用することができます。

制度の対象となっている金融商品は、地方債社債(新株予約権付社債を除く)、投資法人債、相互会社の社債、SPCなどが発行する特定社債、財投機関や地方公社などの特別法人債、イスラム債などの特定目的信託の社債的受益権、サムライ債などの外国または外国法人の発行する円建債券などです。公募債以外も利用できることから、2022年9月時点での取扱い銘柄数は約80,000となっています。振替制度を利用して発行された債券は「振替債」と呼ばれます。

一般債振替制度のメリットとしては、株式等振替制度と同様にペーパーレス取引となったことによる管理面、取引面、手続き面での効率化・信頼性強化が挙げられます。

証券保管振替機構(ほふり)とは

証券市場を支えるインフラとして重要な役割を果たしているほふりとは、一体どのような組織なのでしょうか。正式名称を株式会社証券保管振替機構といい、社債、株式等の振替に関する法律で定められた日本で唯一の「振替業」を営む「振替機関」です。

現在の株式等振替制度の前身となる制度が導入された際に、元々は財団法人として設立されましたが、2002年に株式会社化されています。筆頭株主は日本取引所グループであり、次いで日本証券業協会、その他にはほふりの利用者である大手証券・銀行らが株式を保有しています。

「社債、株式等の振替に関する法律」は証券の管理効率化と信頼性向上に貢献

本記事では、社債、株式等の振替に関する法律と、同法に基づく上場株式と社債それぞれに対する証券保管振替制度、そして制度の主体となる証券保管振替機構(ほふり)について解説しました。
証券保管振替制度によって、当たり前に感じていた株券や債券の電子化が実現されており、いずれもほふりが集中管理していることをご理解いただけたのではないかと思います。

証券市場の透明性や信頼性を担保すべく裏側を支えている仕組みに対しても考えを巡らせてみると、何気なく進めていた取引や手続きの中にも新たな発見が生まれるかもしれません。

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