私募社債とソーシャルレンディングの違い

公開日:2022年12月29日
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お読みいただきありがとうございます。
Siiibo証券という会社でCEOを務めている小村と申します。

Siiiboは、「webでの私募」を活用することで、シンプルで分かりやすい金融商品である「社債」の投資・発行プラットフォームを運営するネット証券会社(第一種金融商品取引業者)です。

今回の記事では、よく面談等でご質問いただく「私募社債とソーシャルレンディングの違い」についてご説明いたします。

主観的な内容とならないよう留意いたしますが、お気づきの点はご指摘いただけますと幸いです。

直接金融と市場型間接金融

社債が、資金需要者の発行する有価証券を通じ直接投資をする直接金融の一種であるのに対し、ソーシャルレンディングは、資金需要者と金銭消費貸借契約を結ぶファンド組成企業との匿名組合契約を行う、市場型間接金融の一種です。ここでの「匿名」は資金需要者や他の出資者等からファンド出資者が見られないことを指し、資金需要者の情報をファンド出資者へも提供できるようになる匿名化解除等を経て、投資家側から見たソーシャルレンディングの透明性は過去と比較し高まっております。

投資家にとっての両者の主な違いとして、信用リスクの対象者がございます。
社債の場合は資金需要者の企業、ソーシャルレンディングの場合はファンド組成企業となります。
特にファンド組成企業が複数の企業への貸付を行っている場合、その出資者は、ファンドの資金使途として紹介されている主要な融資先以外の信用リスクも負う可能性がある点に注意が必要です。

また、直接の債権者貸付ファンドの出資者という法的位置付けも異なります。これにより、例えば債務不履行が発生した場合の債権回収プロセスも異なる可能性がございます。
ご参考までに、社債の場合は、破産手続きに参加する届け出等、社債権者の代理としての社債管理の補助を任意で受託する「社債管理補助者」という新たな役職が改正会社法より設けられました。これにより弁護士法人も担い手となることが可能となるため、社債管理者不設置でも社債権者に損失や混乱が生じにくくなるよう改善が期待されます。(書面や電磁的記録による)社債権者集会決議の省略等も当該改正に盛り込まれ、長く利用されてきた社債という仕組みも、時代とともに変化しております。

尚、社債・ソーシャルレンディングともに、サービス提供企業(金融商品取引業者)は社内審査等を行っているものの、資金需要者の信用力を保証しているわけではない(自己責任原則)という点にも注意が必要です。

投資家保護の仕組み

以下、社債を取扱う証券会社とソーシャルレンディング事業者の、主に第一種金融商品取引業者(所謂、証券会社。以下、一種業者)と第二種金融商品取引業者(以下、二種業者)という立場の違いによる投資家保護の仕組みについて説明いたします。

分別管理

二種業者は、一定の要件を満たさなければ顧客から金銭の預託を受けることはできないとされています。一方で、ファンドの分配金・償還金を支払うにあたり、事務処理のために必要な期間の範囲で当該金銭を出資金等管理口座で管理することは、顧客からの預託金には該当しないともされています。そのため、ソーシャルレンディングの場合、顧客からの預り金に対し顧客分別金信託等による倒産隔離措置を行っているか確認することを推奨します。

当該措置が取られていない場合、募集等を行うサービス提供企業(二種業者)の信用リスクも負う可能性がございます。顧客分別金信託を用いると、サービス提供企業が倒産や廃業となっても、投資家が預けた資金のうち、投資家に返却すべき額に相当する金銭は信託銀行等に管理されており、投資家に返却されます。一種業者は金融商品取引法にて当該措置が義務付けられております。
ただし、資本金額等の要件を満たした二種業者が電子申込型電子募集取扱業務を行う場合、顧客から金銭の預託を受けることが可能で、その際は同様に当該措置が義務付けられております。

投資者保護基金

一種業者と二種業者の違いとして、日本投資者保護基金への加入義務の有無もございます。

日本投資者保護基金は、万が一、何らかの事情で一種業者が破綻した際に、上述したような分別管理の義務に違反しており顧客資産の返還が円滑に行われない場合でも、一人当たり上限1,000万円まで補償を行います。

したがって、一種業者に預けている資産は、分別管理と投資者保護基金による二重の補償制度によって保護されています。

自己資本規制比率

自己資本規制比率とは、金融商品取引業者の経営の健全性を測り、「リスク相当額」に対し「固定化されていない自己資本の額」を一定以上に保つことで、予期しない破綻等を未然に防ぐことを目的とした指標のことです。
一種業者に対しては日次での正確な算出や当局への定期的な報告が義務付けられております。
金融商品取引法では自己資本規制比率の120%維持義務が規定されており、それを下回った場合、金融庁はその証券会社に対して監督命令を発することができることとなっています。

総合課税と分離課税

一般公社債と分類される私募社債にかかる税制は源泉分離課税であり、確定申告は不要です。ご参考までに、2020年度の税制に基づく税率(個人)は以下の通りです。

20.315%(国税:15.315%(所得税+復興特別所得税)及び地方税:5%)

匿名組合への出資に係る分配金については、所得税が一律に源泉徴収されますが、原則として確定申告をする必要があります。その際、分配金の所得区分は雑所得に該当し、総合課税となるため、他の所得による損益を合算して確定申告により税額を計算することとなります。

総合課税における所得税の税率区分が高くなるほど、分離課税との差がリターンに影響してまいります。

ただし、上記内容詳細は必ず税理士等専門家にご確認ください。

取得勧誘の制限等

私募社債(プロ私募除く、少人数私募)は、

  • 6か月以内発行の同一債券において、勧誘者を50名未満とする
  • 社債総額を1口の金額で割った口数を50未満とする
  • 譲渡制限を設ける

等により、社債管理者の設置や有価証券報告書の作成不要で発行する社債のことです。

ソーシャルレンディングでは、匿名組合出資金を有価証券投資に充てないため公募には該当いたしません。

上述の税制等も考慮すると、両者の違いはそれぞれ以下のようにまとめられるというのが個人的な意見です。

私募社債:
少人数で大口の資金を集めるのに適した、双方顔が見える仕組み

ソーシャルレンディング:
大人数で小口の資金を集めるのに適した、投資家は匿名化可能な仕組み

おわりに

投資者保護については、証券会社・ソーシャルレンディング事業者問わず大半の事業者の方々が細心の注意を払う中で、一部の悪意ある業者により業界全体の信用が貶められる事例が見られること(ご参考:金融庁ホームページ 投資を行っている方へ)について、私も含め強い義憤の念を持つ方も多くおられるかと存じます。
そのような業者との違いを明確にすべく、また弊社が最も重要視している観点でもあるため、やや説明が長くなってしまいました。

以上、拙文で大変恐縮ですが、皆様からのご意見やご指摘を取り入れ、より良い記事にしてまいりたく存じます。
是非お気づきの点ございましたら、私のTwitterアカウントまでご連絡いただけますと幸いです。

よろしくお願いいたします!

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