ゼロクーポン債とは?利付債との違いや利回りの計算、税制などの特徴

公開日:2023年3月24日
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    債券は、利息の有無によって2種類に区別できます。1つが利付債、もう1つがゼロクーポン債です。ゼロクーポン債は利付債とは異なり利払いが無い代わりに、額面より低い金額で購入できます。その後、償還時に額面金額を受け取ることで償還差益が期待できる債券です。今回は、ゼロクーポン債の利回りの計算や税制、利付債と比較しての特徴について解説します。

    ゼロクーポン債は利息がなく額面金額より低い金額で発行される

    ゼロクーポン債は、その名の通りクーポン(利息)がなく、その代わりに額面金額より低い金額で発行される債券です。
    ゼロクーポン債を満期まで保有すると額面金額で償還されるため、額面金額に対して割引された購入時の金額と額面金額の償還差益が期待できます。
    額面金額から割引した金額で発行されるため「割引債」とも呼ばれます。
    ゼロクーポン債の多くは海外で発行されており、外貨建債券である場合が多いことも特徴です。

    利付債との違い

    保有中、定期的(例えば半年に1回)に利息が支払われる債券を利付債と呼びます。
    額面金額で発行され、定期的に利息が支払われる点がゼロクーポン債と異なります。なお利付債には、利率があらかじめ決まっており変化しない固定利付債と、市場の金利水準に合わせて定期的に利率が変化する変動利付債の2種類があります。
    一方、満期償還日に額面金額が払い戻されるのはゼロクーポン債と同様です。

    ゼロクーポン債の利回りの計算方法(単利と複利)

    ゼロクーポン債の利回りの計算について、以下を例としてご説明します。

    例)額面金額100万円、発行価格80万円(額面金額の80%)、期間5年で発行時に購入

    上記の例において、償還まで保有した場合の利回りを単利で計算すると、
    (100万円-80万円)÷5年÷100万円×100=4%の利回りとなります。

    また、ゼロクーポン債は前述の通り利息(利金)がありませんが、毎年利金の支払いがあったと仮定すると、受け取った利金を元本に加算し償還まで再運用されたとみなすことができます。このように計算するとゼロクーポン債の複利の最終利回り(債券を購入し、償還日まで保有した場合の利回りのこと)は、4.56%程度となります。
    日本の債券市場では慣習上単利を用いますが、欧米の債券市場ではほとんどが複利で表示されます。

    ゼロクーポン債は償還差益に課税される

    ゼロクーポン債の税金は償還時の差益(=償還金額-取得価額)にかかります。税率は利付債と同様で20.315%です。(2016年1月1日以降に発行された場合)
    納税の方法は、以下のように利用している口座の種類で異なりますが、特に一般口座の場合、みなし割引率が適用されることが留意点です。

    一般口座の場合

    償還金額×みなし割引率(※1)×20.315%の税率が適用され、償還時に源泉徴収されます。取得金額をもとに償還差損益を計算した場合の源泉徴収税額とは異なるため、確定申告で実際の償還差損益を申告して精算が必要になります。

    ※1 みなし割引率:発行日から償還日までの期間が1年以内のものは0.2%・1年超のものは25%

    例)一般口座、発行から償還までが1年超のゼロクーポン債(取得価額90万円、償還金額100万円)の償還時課税と源泉徴収

    償還差益は、100万円-90万円で10万円です。

    ①みなし割引率を適用した源泉徴収税額:100万円×25%×20.315%=50,787円
    ②実際の償還差益をもとに計算した税額:10万円×20.315%=20,315円

    上記のケースでは、みなし割引率による①の50,787円が源泉徴収されますが、②の実際の償還差益による税額の方が少なかった場合、確定申告を行えば①-②の30,472円分の税額は還付されます。

    特定口座(源泉徴収あり)の場合

    金融機関が実際の償還差損益より税額を計算し、源泉徴収が行われます。

    まとめ

    ゼロクーポン債には以下の特徴があります。

    • 利息がない
    • 額面金額より安く発行され償還差益が期待できる
    • 償還時の償還差益に課税される
    • 源泉徴収時、みなし割引率で計算されることがあるが、確定申告により精算できる

    ゼロクーポン債は、利息の付く利付債などとも様々な違いがあります。購入を検討する際には、その特徴やリスクを把握することが重要です。

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