スタートアップを取り巻く資金調達動向2025まとめ

公開日:2025年12月25日
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1.「資本政策の多角化」がスタンダードに

2025年の資金調達環境は、東京証券取引所による上場基準の見直しなどを背景に、スタートアップ企業にとってエクイティ調達が難航する厳しい状況が続きました。相対的にエクイティ調達に依存しない多角的な資本政策が求められています。

遠のいたIPO

東京証券取引所が9月に公表したグロース市場の上場維持基準の見直しにより、グロース市場ではこれまでの「上場10年経過後に時価総額40億円以上」から「上場5年経過後に時価総額100億円以上」と従来よりも短期間で高い成長が求められ、到達できなければ上場廃止となりかねないこととなりました。
企業の成長可能性だけでなく、高水準な事業計画や実績が求められるようになったことで、スタートアップにとってIPOは高い壁となりました。

エクイティ調達への影響

IPOが後ろ倒しになると、企業は成長に必要な運転資金をエクイティ調達だけで賄うことが難しくなります。これにより、エクイティでファイナンスを提供することが一般的なVCにとって、投資資金を回収するイグジットの時間軸の見直しが求められました。
2025年の資金調達実績では、大型の資金調達の中にプレシリーズやエクステンションラウンドが複数案件見られ、スタートアップのエクイティ調達環境が長期化し複雑化していることが表れています。大規模な出資ができるVCは限定されていることから、スタートアップは事業法人やCVCからの調達を活用するなど、資本政策を多角化する構造に移行しつつあります。
スタートアップの株式調達が難しくなったことにより、返済スケジュールを見通しやすくバリュエーション変動の影響を受けづらいデット調達のニーズが相対的に高まりました。

2.ベンチャーデット市場は拡大

エクイティ以外の調達手段へのニーズが高まる中、2025年は銀行によるベンチャーデットが制度的にも実務的にも整い、資金供給者が充実しました。

活発だった銀行の参入

ベンチャーデットの市場は、ファンドや貸金業者、第一種・第二種金融商品取引業者など、さまざまな取扱機関から立ち上がったスタートアップが中心に成長を支えてきましたが、2025年は銀行の参入や実働が目立ちました。

ファンドの立ち上げ
・HYBRID ANNEX1号投資事業有限責任組合(2月設立、出資者:あおぞら企業投資、日本政策投資銀行グループ)

・RFC Venture Debt Fund 1号投資事業有限責任組合(11月設立、出資者:りそな銀行、Fivot)

新たな参画
・UPSIDER BLUE DREAM Growth Fund 2号 投資事業有限責任組合(5月設立、みずほ銀行、UPSIDERキャピタル)
総額143億円規模
みずほ銀行が1号ファンドから中核的に参画したほか、都市銀行、地方銀行、保険会社といった異なる業態の金融機関も新たに参画

・Funds Venture Debt Fund 1号投資事業有限責任組合
りそな銀行、京都キャピタルパートナーズが新たに参画(3月)
中国銀行が新たに参画(6月)

新規参入
・琉球銀行(9月開始)
BORベンチャーデット:ミドル期以降のスタートアップを主な対象に2億円以下の融資

資本業務提携
・東海東京インベストメントとSDFキャピタルが資本業務提携(9月)
2026年に組成予定の2号スタートアップ向けデットファンドへの出資協力

銀行へのベンチャーデットノウハウの浸透

従来の銀行融資のスキームでは、スタートアップの創業年数の浅さや赤字がネックとなって融資判断が難しい領域とされていました。
そんな中、2025年2月に全国銀行協会が作成した「スタートアップ融資実務ハンドブック」(※)で、国内のスタートアップ融資市場の発展を目的として、通常の融資とスタートアップに向けた融資との違いや、スタートアップ融資の基本プロセスなどが体系的に盛り込まれました。 地方銀行も含めた幅広い金融機関の参入ハードルが下がり、取り組みやすい土壌が整ってきました。

(※)一般社団法人 全国銀行協会「スタートアップ融資実務ハンドブックの抜粋」

3.Siiibo証券から見える企業行動 - 継続的な社債発行の定着

スタートアップが継続的に利用できる資金調達手段を探す動きは、Siiibo証券の利用実績にも表れています。

リピート発行の増加

Siiibo証券が運営する社債発行・購入プラットフォーム「Siiibo」を通じて2025年に社債を発行した企業のうち、半分が2回目以降の利用でした。
サービス開始以降の累計で見ても、企業数ベースでのリピート率は43.5% に達し、社債発行による資金調達が「単発」ではなく、「継続的な資金調達手段」として活用されていることが見てとれます。

発行企業から見た社債発行

社債を2回以上発行しているリピート発行企業からは、発行タイミングの柔軟性や、経営権を希薄化させない資金調達手段として活用している声が寄せられました。

株式会社SANU様

「SANU 2nd Home」をはじめとしたシェア別荘サービスを提供
「社債は様々な規制のもと発行体が限られている中、スタートアップの早い段階から活用できる少人数私募のプラットフォームには大きな可能性を感じております。事業の拡大に応じて柔軟に時期と募集内容を調整して調達が可能な点が魅力的であり、当社もSANU 2nd Home事業の開発及び運営の費用として、活用させていただいております。」

株式会社クアンド様

現場の技術者不足・労働力不足をDXで解決する「SynQ Remote」を提供
「当社のように複合的な成長戦略を持つスタートアップにとって、ファイナンスミックスによる資金調達は非常に重要であり、本手段はスピード・柔軟性・希薄化回避の観点で欠かせない手段の1つだと考えております。実際に、調達した資金を用いてSaaS事業の強化とM&A・PMIの推進を加速させることができました。

個人投資家の開拓やブランディングにも貢献

社債発行は、個人の投資家から直接、クローズドに資金調達できることが特徴です。発行企業の資金需要を満たしつつ、個人投資家とのコネクションやブランディングの一端も担いました。

株式会社SANU様

「投資家様からは事業に対して多くのポジティブなお声をいただく中で、当社サービスの既存ユーザー様からSiiibo証券様を通じてご支援いただく例、またその逆もあり、当社との親和性が高いファイナンス手法の一つだと感じています。」

株式会社クアンド様

「個人投資家の方々からは当社のミッションや事業に共感する声や社会的意義があるなどの声が多く寄せられており、ブランド面でも大きなポジティブ効果を実感しています。今後も適切なタイミングで適切な金額を本手段で調達し、事業成長に繋げてまいります。」

4.まとめ

IPOのハードルが上がり、株式市場の変動幅も大きかった2025年は、従来の「株式中心の調達戦略」による企業成長の難しさが一層高まり、デットによる調達を取り入れた多角的な資本政策の重要性が増した年となりました。資金提供者に銀行が加わったことで、2026年のベンチャーデット市場はさらなる展開が期待されます。

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