直接金融と間接金融の違いとは?資産運用の観点から解説

公開日:2023年6月30日
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金融とは「資通」の略で、余っている先から必要としている先へと、資金を融通することを指します。金融の仕組みには、直接金融と間接金融の2つの形態があります
直接金融と間接金融では、資金の流れや取引方法において異なる特徴があり、資産運用を行う場合にも、それぞれの特徴を理解して適切な選択を行うことが重要です。
本記事では直接金融と間接金融の特徴やメリット、デメリットを解説します。

直接金融・間接金融とは?

資金の供給者と需要者を結びつける金融の仕組みには、直接金融と間接金融の2種類が存在します。両者の主な違いは、資金の流れや取引の方法にあります。まずは、直接金融と間接金融がそれぞれどのようなものかを説明します。

直接金融は資金の貸し手と借り手が直接結びつく仕組み

直接金融とは、資金の貸し手と借り手が第三者を介さず、直接結びつく仕組みのことを指します。
例として挙げられるのは、株式債券です。このとき、投資家(貸し手)は自分で投資先(借り手)を選び、直接資金を提供していることから、直接金融による取引を行っているといえます。投資家が利益として受け取れるのは、株式の配当金や債券の利息です。
投資家は証券会社を利用して、投資先を探したり、資金を振込んだりすることがありますが、あくまでも証券会社は投資家と投資先を仲介する役割にとどまっており、手数料で利益を得ています。

間接金融は資金の貸し手と借り手の間に第三者が介在する仕組み

対する間接金融とは、お金の貸し手と借り手の間に金融機関などの第三者が入る仕組みのことです。
具体例は、銀行などの金融機関の預金です。預金では、預金者(貸し手)と借り手となる法人や個人は直接取引を行わず、金融機関を通じて間接的に関与します。
預金者から集められたお金は、金融機関の判断で借り手に利子を付けて貸し出されます。貸付利子の一部は預金者の利益(預金利息)となり、金融機関は貸付利子と預金利息の差額で利益を得ています。

資産運用における直接金融のメリット

直接金融の取引では、投資家が自ら投資先を選び、資金供給を行います。この方法は、投資家にとってリスクが大きいと思われるかもしれませんが、資産運用において直接金融での取引を選択することには多くのメリットが存在します。本記事では代表的な2つのメリットについて解説します。

間接金融と比べると利回りが高い

直接金融に該当する取引である株式や債券投資には、比較的利回りが高い金融商品も存在します。また、資金や投資機会さえあれば、成長が見込まれる企業や収益性の高いプロジェクトを自ら選んで投資することができます。
そのため、間接金融で資産を運用する場合(預金)に比べて、より効果的な運用を行える可能性があります。

投資家自身で投資対象を選択できる

直接金融の取引では、投資先候補の情報を収集・調査し、自分自身で投資先を選択することができます。これにより、自身の投資戦略やリスク許容度に応じて、柔軟に投資先や投資の形態を選ぶことが可能です。
また、金融商品取引所などの市場を介さない相対取引の場合では、投資条件や契約内容を交渉し、更に自身のニーズにカスタマイズした形で投資を行える可能性があります。

資産運用における直接金融のデメリット

直接金融での取引は柔軟性が高く、投資家にとって前述のとおり魅力的なメリットがあります。一方で、自由度が高い分リスクも大きくなるという特徴もあります。直接金融の取引を活用して資産運用を行う上では、主に次の2点に注意が必要です。

投資家が直接リスクを負う

直接金融の取引では、預金と比較して高いリターンが期待できる一方で、相応のリスクを負うことになります。投資対象によって、価格変動リスク信用リスク流動性リスクといった、様々なリスクが存在します。
直接金融を活用した資産運用におけるデメリットは、投資家自身が直接こうしたリスクを負う必要があるという点です。後述する預金と異なり、投資した金額はたとえ一部であっても保全されません。そもそも、元本保証をうたって資金を集めることは、銀行など限られた金融機関以外には、法律で禁止されています。
投資を行う場合は自ら情報を収集し、分析を行い、投資先の財務状況や業績、市況などを把握した上で、自身の資産状況や金融リテラシー、リスク許容度などに合った投資先を選択することが重要です。

元本割れの可能性がある

直接金融での取引では、投資元本が減少するリスクがあります
投資対象の株式や債券の価値や収益は、経済の変動や市場の変化、企業の業績悪化、法的問題など、様々な要因によって変動します。その中で、株式の場合は株価の下落で元本割れを起こしたり、債券の場合は発行体が債務不履行デフォルトを起こして元本の償還や利息の支払いが行われなかったりすることも考えられます。
直接金融で投資を行う際は、投資先の市場や企業についての情報収集をしっかり行った上で、投資先を分散させるなど戦略的にリスクヘッジを行う必要があります。

資産運用における間接金融のメリット

間接金融では、金融機関が貸し手となり、資金の借り手や貸出条件を決めて貸出しを行います。第三者を介することから、直接金融におけるデメリットの裏返しとなるメリットがあります。以下にて特に2つのメリットを取り上げます。

預金者は貸倒れのリスクを直接負わない

間接金融において、預金者は貸出先の貸倒れリスクを直接負わなくて良い点がメリットです。
そもそも金融機関は、貸出し時の審査や資産運用リスク管理を行うことで、リスクを一定程度低く抑えるよう業務を行っています。それでも、金融機関が貸出しを行った法人が倒産して貸倒れが発生したり、個人が返済不能に陥って自己破産したりするのは起こりえるものです。このとき、金融機関は元本を失いますが、預金者は直接的な損失を被らずに済みます。金融機関自体が倒産しない限りは、引き続き自分の預金を自由に引き出せるのです。
したがって間接金融では、預金者自身で市場や投資先に関する情報収集やリスク分散を行わなくとも、預金利息を享受することができます。

預金は一定範囲まで保護される

国内の金融機関は預金保険制度の対象となっていることから、万が一金融機関が破綻しても、普通預金等の場合、預金者一人当たり元本1,000万円までとその利息等が保護されます。この制度により、銀行が破綻した場合には、預金保険機構から直接預金者へ、保険金として当該金額が支払われることになります(なお、この仕組みは「ペイオフ」と呼ばれます)。直接金融では、投資した額の全てを失う可能性があることを考えると、預金保護があることは間接金融のメリットといえるでしょう。

資産運用における間接金融のデメリット

間接金融は直接金融と比較すると、低リスクで資産運用を行うことができる形態です。しかし、以下2つのデメリットも存在します。

直接金融と比べると利回りが低い

間接金融で資産運用を行おうとすると、直接金融での投資に比べてリスクが低い反面、利回りも低い傾向があります。
そもそも預金者への利息は、金融機関が貸付利子などによって得た利益から、経費や利益が差し引かれた分が還元されており、株式や債券への投資と比べて利回りは低くなります。
特に現在の日本経済は低金利環境が続いているため、金融機関が預金に対して支払う金利も低くなっています。超低金利時代が終わりを迎えない限りは、預金を増やすのみで大きなリターンを期待することは難しいでしょう。

ひとつの金融機関からは1,000万円までしか保護されない

預金保険制度によって預金などが一定範囲で保護されることは、間接金融の大きなメリットですが、留意すべき点もあります。本制度は、ある金融機関の1預金者あたり1,000万円までとその利息等しか保証されないという仕組みでもあるので、ひとつの金融機関に1,000万円以上預金がある場合、たとえ複数口座に分けていたとしても、上回る分は保護されないということです。すなわち、1,000万円以上を預金としたい場合は、複数の金融機関に分けて預けておかないと、厳密には金融機関が破綻したケースにおける信用リスクを負っていることになります。

直接金融と間接金融の違いを理解した上で資産運用を

本記事では、直接金融と間接金融の違いについて、特に資産運用の目線から解説しました。
直接金融を活用した資産運用では、柔軟性が高く、高いリターンを期待できますが、その分リスクも高くなります。一方、間接金融である預金では、リスクは相対的に低くなりますが、利回りもその分低くなります。
資産運用を行う上では、自身の目標やリスク許容度に合わせて、直接金融と間接金融の特性を考慮して適切なバランスを選択しましょう。

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