【中編】社債発行はあらゆる方法を模索して見つけたデット調達手段。だからこそ、透明性高い情報発信を重視

公開日:2022年9月20日
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すべての人に金融アクセスを届けることをミッションとして、途上国で事業向け小口金融サービスを展開されている五常・アンド・カンパニー株式会社
2021年8月にSiiibo証券が運営するプラットフォーム”Siiibo”を活用し、オンラインでの私募による社債発行を実現されました。

CFOの堅田様に弊社代表小村からインタビューさせていただき、前編では独自性のある事業内容について詳しくお聞きしました。中編となる今回は、五常様が社債発行に取り組まれた理由、そして個人投資家の方に対するコミュニケーションにおいて心がけられたポイントを深堀りします。

▼前編記事はこちらから
【前編】五常が世界中でマイクロファイナンスに取り組む意義とは? ローカルでありグローバルである強み

お話をうかがった方:
五常・アンド・カンパニー株式会社 Chief Financial Officer 堅田航平様
五常・アンド・カンパニー 堅田様

グループの力を活かせる負債性資金調達手段を求めて出会ったSiiibo証券での社債発行

小村: さて、ここからは社債発行についてお伺いします。実は弊社とはかなり早い段階で堅田さんとは接点をお持ちいただいてましたよね。確かTwitterで…

堅田:(笑)そうでしたよね、確かに。

小村: 資本コストのお話もありましたが、他にも興味を持ったきっかけがあったらお教えいただけますか?

堅田: ステップバックして見ると、五常が担っている社会的役割の一つは、お金を持っていて運用先を探している人たちと、お金は足りないけれども、お金さえあればチャンスを活かして収入を増やしたり、事業を成長させたりすることができる人たちとの間で、どれだけスムーズに必要なお金を融通することができるか、というところにあると思っています。

エクイティでの資本調達については、2030年までに50ヵ国1億人の人々に金融サービスを届けるという長期目標に照らせばまだ始まったばかりですが、なんとか一定の成果を出すことができています(2021年8月までの累計資本調達額146億円)。一方、事業の中心は小口融資ですが、マイクロファイナンス機関はライセンスの関係で預金を取扱うことができない、または条件が厳しいことが多いため、デット(有利子負債)の調達を持続可能な形で拡大していく必要があります。現状、グループ各社は現地の金融機関からの借入を中心に資金調達を行っていますが、五常グループの規模やネットワークを生かした資金調達手段の多様化・最適化を常に模索しています。

そうした中でSiiibo証券の存在を知り、機会があれば是非私募社債の発行にチャレンジしてみたいと思っていました。五常グループが途上国のお客様の生活にもたらす社会的インパクトをしっかり訴求することによって、日本の個人投資家の皆様からデット調達をできないかなと。

五常・アンド・カンパニー 堅田様

小村: ありがとうございます。国内の調達手段を様々ご検討いただいている中で、これまで他にどういった取り組みをご検討されて、そこで感じていた課題がもしあればお聞かせください。

堅田: 国内金融機関からの借入の拡大・長期化に加えて、将来的には格付を取得した上で公募債の発行、証券化なども選択肢となると考えていますが、日本には類似の事業を展開する会社がほぼ存在しないことから前例がなく、一定の時間がかかりそうです。

金融包摂という社会的使命を担うマイクロファイナンス関連の金融商品が、日本の個人・機関投資家の方々の間で魅力あるアセットクラスとしての地位を確立できるよう頑張りたいですね。

小村: 負債性調達の中でも、弊社を活用して発行する社債の場合、個人投資家の方が大半で直接市場という特徴があります。こうした点に対して期待されていたメリットはありましたでしょうか?

堅田: 「定期社債」(定期的に保有継続・中途換金を選択できる社債)は一種のイノベーションではないかと思いました。
個人の方々から直接お金を集めることはもちろん責任を伴うことですけれども、直接金融だからこそ取りうる個人投資家の方々とのコミュニケーションのあり方を共に考えていけるといいなと思います。

小さくスタートして色々な形でトライアルを積み重ねながら、ゆくゆくは個人投資家の方々にとって「持っているお金の活かし方の選択肢のひとつ」になっていくといいなと考えています。

現地のリスク管理レベルを圧倒的に引き上げ、それを投資家の方に自信を持ってご説明できるよう情報開示に注力

小村: 投資家の方々、社債権者の方々とのコミュニケーションを重視してくださっているということですが、弊社サービス上で公開されているIR情報は非常に充実されていて、投資家様からのフィードバックも非常に良い意見が多かったという印象です。

堅田: 五常は創業当初、多くの個人株主に支えて頂いたという経緯もあり、投資家の方々に向けて透明性の高いレポーティングを行う体制を整えてきたので、これをデットの調達にも活かしたいと考えました。
一方で、投資家の方々が注目されるポイントはエクイティとデットでは異なりますので、事業内容や財務数値については、透明かつ正確な情報開示に努めつつ、ダウンサイドリスクを低減する取り組みについて、うまくご説明できるよう心がけました。

途上国に成長機会や高い利回りを得られる機会があることは広く認識されているにも関わらず、お金が流れていない理由を考えた時に、その成長やリターンに対してどれだけのリスクを取っているのかが投資家にとって分かりにくい、という部分が大きいと思います。五常が果たす一つの役割は、グループ会社に対して、過半数の議決権を有する責任ある株主としてサポートを提供し、いわゆるGRC(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)を、先進国の投資家の方々から見ても納得のゆく水準に引き上げることだと考えています。それによって不確実性を低減し、リスクをどれだけ適切に管理できるか、そして実際に格付や資金調達コストの最適化においてどのような成果が出ているのかを投資家の方々にご理解いただくことが重要だと考えています。

こうした守りの側面の現状について、投資家の方々に的確に伝えられるよう留意をしていますが、今後も更なる取り組みが必要です。信頼は築くのは難しく時間がかかりますが、何かあると一瞬で崩れてしまうものですから。五常の社債に投資をすることの合理性を問われたときに、弊社が介在することによって、直接途上国に投資するよりもガバナンスやリスク管理の面で適切なリスク・リターンとなっていると自信を持って答えられるようにならなければいけないと思います。

五常・アンド・カンパニー 堅田様 Siiibo証券小村

小村: ありがとうございます。貴社のクレジットリスクについて、補足いただけるような具体的な数値情報はありますか?

堅田: 例えば、現地の借り手の貸倒率は、新型コロナ前は平均0.5%以下、30日延滞率2.0%未満を維持してきました。これは同業他社と比較して良好な水準です。

五常では、適切なデータに基づいて与信判断を行う入口の審査の精度に加えて、営業職員のリテンションも重視しています。これはマイクロファイナンスにおいては、お客様と営業職員の間の信頼関係が、規律ある借入の返済に寄与しているからです。このため、各国の慣習に沿った透明性の高い人事制度や最適なトレーニングの提供を通じて、優秀なスタッフのリテンションを高めるための投資を行ってきました。

新型コロナの感染拡大により、途上国でもロックダウンが実施されるなか、回収業務自体に制約が生じて、見た目上の延滞率は新型コロナ前と比較して上昇していますが、お客様の事業への影響は限定的ですし、インドではこの間に一層のデジタル化を押し進め、キャッシュレス返済比率を9割超まで一気に引き上げるなど、組織的な課題対応力の高さを証明することができたように思います。

小村: 貴社の低い貸倒率というのが、ここでもテクノロジーとヒューマンタッチの組み合わせで実現されているということがよくわかりました。


▼当記事の続きは、
【後編】フレキシビリティのある資金調達手段として、 今後も社債活用の可能性に期待
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