特定投資家のみ購入できる商品とは?スタートアップの新株予約権付社債等が追加に
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2022年の特定投資家制度見直しを受け、特定投資家となることで投資できるようになる金融商品の種類が広がりました。スタートアップをはじめとする非上場企業の新株予約権付社債などを証券会社を通じて購入できるようになった点が大きな特長です。
特定投資家だけが購入可能な金融商品とは
特定投資家を対象とする諸制度の整備は、関連記事のとおり、スタートアップへの成長資金供給促進を目的として行われました。
新たに開始した「特定投資家向け銘柄制度(J-Ships)」の対象商品は、非上場企業の①店頭有価証券(株券、新株予約権、新株予約権付社債)、②投資信託、③投資証券等(投資証券、新投資口予約権)となっています。
これまで個人で有望なスタートアップへ投資する機会は、ほとんどエンジェル投資に限られていました。加えて、金融商品取引業者による非上場株式などの投資勧誘は原則禁止、という規則も存在しています。すなわち、自力でシード期のスタートアップとの接点を持てなければ投資のチャンスがなかったということです。しかし今般の新制度開始によって、特定投資家となることで、例えばミドルステージのスタートアップの新株予約権付社債といったオルタナティブな金融商品の購入が、証券会社を通じて可能になるというメリットが生まれました。
特定投資家向け商品の購入にあたって知っておくべき2点
取扱いがあるのは指定を受けた証券会社のみ
特定投資家向け銘柄を購入できるのは、証券会社の中でも、本制度に係る業務の取扱いについて日本証券業協会の指定を受けた「取扱協会員」からのみとなっています。
取扱協会員である証券会社は、日本証券業協会の自主規制に則り、対象銘柄(新株予約権付社債など)の発行企業に対する審査などを実施した上で、取得勧誘を行います。
購入前に特定投資家移行を完了しておく必要
前述の自主規制にて、特定投資家向け銘柄の取得勧誘は、特定投資家への移行が完了している投資家に対してしか行うことができない、と定められています。特定投資家私募という枠組みを使うため、対象が特定投資家のみに限定されているからです(なお、特定投資家私募は少人数私募と異なり、49人という勧誘人数の上限はありません)。
このことから、特定投資家としてスタートアップの新株予約権付社債などの購入案内を受けたり、具体的な銘柄に関して質問したりしたい場合には、予め取扱協会員である証券会社に口座開設を行った上で、特定投資家への移行申請を行っておく必要があります。
特定投資家へ移行したい場合には、それぞれの証券会社への申請が必要です。スタートアップへの投資機会を探しており、特定投資家要件を満たす可能性のある方は、取扱いのある証券会社で事前に移行申請を行うことをお勧めします。
スタートアップ銘柄の取扱いがある証券会社で特定投資家移行申請を
特定投資家の要件に該当する方は、証券会社を通じて、有望スタートアップのオルタナティブな金融商品を購入できる可能性があります。購入にあたっては、特定投資家向け非上場銘柄を取扱う証券会社にて、予め口座開設と特定投資家への移行申請手続きを行っておく必要がありますので、スタートアップ支援の機会を探している場合は、検討してみてはいかがでしょうか。